日弁連の市民アンケートにおいて、何か法的な問題が起こった際に相談しようと思う特定の弁護士がいる方は、全体の1割弱という結果が出ています。つまり一般市民の皆さんのうち9割の方々は、まっさらな状態から弁護士を探さなければならないということになります。
この点、従来の弁護士はあまり広報とか広告には積極的ではありませんでした(広告の規制があったということもあります)。弁護士たるもの、人脈を広げて、かつ一つ一つの事件を誠実にこなすことによって評価を高め、依頼者からの紹介や口コミで顧客を得る、というのが従来のスタイルでした。
しかし、現在では弁護士も増えて競争となり、かつこのネット社会、弁護士を探すにもまずはスマホで検索サイトにアクセスした上で、例えば熊本の方だと「熊本 弁護士」などと入力して検索してみる、というのが当たり前となりました。今や大半の弁護士がウェブサイトを持ち、かつSEO対策等を凝らして検索上位を狙う、ということをしています。
しかしながら、そのような検索上位に来る弁護士、手広く広告を出している弁護士が腕の良い弁護士か、と言われれば、私の感覚では(もちろん優れた弁護士もいますが)必ずしもそうではない、というところです。逆に検索サイトに引っかからない、ホームページも持たない弁護士でも、私よりはるかに人格・能力共に優れた弁護士はたくさんおられます。これは上記のようなポリシーがある弁護士や、既に有力顧客・顧問を抱えて顧客の新規開拓を積極的にやる必要がないとか、破産管財人や成年後見人など裁判所等からの依頼事件を主軸にしているという弁護士もおられるかもしれません。あと口コミサイトなどで弁護士の評判が投稿されているものもありますが、これも同業者としては的確なものとやや的外れなものがあり、全てうのみにできるものではありません。
それでは、良い弁護士はどのようにして探すか。これは私見ですが、これは信頼できる(顔の広い)知人や町の顔役的な方、あるいは親族などに聞いてみるのが、結局一番間違いがないような気がします。「あの弁護士に頼んだけど、けっこうよかった」、「あの弁護士に相談したことがあるけど、不愛想で良くなかった」みたいな情報が一つや二つは出てくるかもしれません。ただし、何事も相性というものがあり、女性(男性)弁護士がいいとか、落ち着いた年配の弁護士がいい、あるいは若手でやる気のある弁護士がいい、というようなものがありますので、まずは相談に行かれて相性も含めて検討されるのがよいと思います。
もちろん、そのような情報、ツテがないという方もおられるかと思います。そのような方はネット等で調べていただくことになりますが、何事もまずは会って確かめた方がよく、まずは相談に行かれることをお勧めします。弁護士には相談したからと言ってもただちに事件を依頼しなくてもよいのです。何人か弁護士をハシゴ相談しても全くかまいません。弁護士に依頼される方は、一生の一大事を依頼されるのですから、よく弁護士の話を聞いて、本当に依頼するに足る弁護士なのか、よく確かめていただきたいと思います。
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