top of page
mhojo58

弁護士のリモートワーク

コロナ禍でリモートワークが一般化し、全くオフィスに出勤しないフルリモート、あるいは週2~3日は出勤し、その他は自宅にてリモートワークをするというハイブリッド型の働き方も増えてきました。弁護士業界ではどうでしょうか。

 私は周囲のいわゆる「町弁」しか知らず、例えば東京の大規模ローファームの事情は全く分かりませんが、あまりリモートワークは普及していないようです。

 まず、弁護士の中には「自宅兼事務所」という方が一定数おられます。といっても執務スペースとプライベートスペースは分かれていると思われますが、このような方々は、当然ながらリモートワークということにはあまりなりません。

 弁護士の業務を分類すると、①書面作成、②法律相談、依頼者等との打ち合わせ、③裁判や調停等への出頭、④出先での仕事…外部での相談、会議、打ち合わせ、警察署での面会、現地調査等、となります。

 このうち①書類作成は、リモートワークとは少し違いますが、これまでも弁護士は自宅等で書面作成ということは普通にやってきました。パソコンと事件記録さえあればどこでもできるからです。

 ②は通常はそれぞれの弁護士事務所での業務ですが、相談者、依頼者の方々がZOOMやTEAMSを普通に使いこなすことができれば、リモートに切り替えることはできそうです。ただ、私の方はご高齢の方なども多く、なかなか難しいのが現状です。

 ③は裁判等のIT化が進行しているのは以前に記載したとおりです。そのうち全てリモートで完結するようになると思われます。

 ④もズーム等の活用である程度リモートに転換することは可能かと思いますが、例えば交通事故現場の現地調査などはやはり現地にいかなくてはならないでしょう。現場の様子、視認状況などはストリートビューだけでは分からないことも多いです。

 こうしてみると、大抵の弁護士業務もリモートワークに置き換えることはできそうな気がします。ただ、上記のような依頼者の事情もありますし、熊本などでは弁護士はたいてい事務所の経営者でもありますので、経営者が事務所にいないと色々不都合なことも出てきそうです。

 弁護士業務のリモートワークの一番のネックは、私は実は「オン・オフの切り替え」ではないかと思っています。弁護士の仕事は市民間の争いに介入したり、刑事事件で被告人等を弁護するというものですので、相手方への対応等、かなりストレスフルなものも含まれています。守秘義務等もあり、あまり家族(特に子供)に仕事内容を聞かせたくないということもあるでしょう。「自宅にまで仕事を持ち込みたくない」というのが多くの弁護士の本音なのではないでしょうか。

 ということで、私も各種会議をたまに自宅でズーム参加するという以上のリモートワークはしていません。事務所に出て仕事モードに切り替える、私はそのほうが性に合っているようです。

 

 

 

閲覧数:10回0件のコメント

最新記事

すべて表示

弁護士の東京一極集中

コロナ禍で一旦収まっていた東京ないし首都圏への人口流入が再び始まったとのお話があります。弁護士業界はコロナに関係なく、もうずっと東京一極集中が続いています。ここ数年はその傾向が一層進んで、例えば現在新人弁護士である第76期司法修習生だった弁護士のうち、実に64パーセントが東...

留言


bottom of page